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石の上にも

 友人の息子さんが最近転職したという。数ヶ月前ご自宅に伺ったときに、その息子さんともお会いして話をしたのだが、そのときは「料理人になる夢に向かってます」とのことだった。レストランで板前の見習いを始めたと言う顔が、生き生きとして誇らしげだったのがうれしかったことを覚えている。久しぶりにその友人に会ったので、板前修業のその後が知りたくて尋ねたら意外な答えが返ってきた。すでにそこはやめて問屋さんに再就職したというのだ。ゲームセンターの景品を補充する仕事らしく、毎日駆けずり回って大変だとこぼしているらしい。
 別の友人も自分の娘が高校を辞めたという。できの良い部類の高校だし、すでに3年生なのだから、結論を急ぐ必要はなかったんじゃないかと、他人事ながら思った。そもそもつい半年前は、かなえたい夢があるので、高校を出たら専門学校に入って勉強したい言っていたはずだ。
 偶然似たような話を聞いて、なんだかいたたまれなくなってしまった。「確かおまえさんがた、夢があるって言ってたよな、あれ何だったんだよ」と突っ込みたくなる。
 ニューヨーク・ヤンキースの松井選手は「夢を夢で終わらせない」を信念に、日々鍛錬したと聞く。甲子園に出る、プロ野球選手になる、メジャーに行く、どれも果てしない夢に思えるが、彼はたゆまぬ努力で夢を実現してきた。
 もちろん、多くの球児たちも同じ夢を描いていることだろう。そして人生の節目節目で自分の才能や実力を顧み、悔しい思いをしながらも夢を断念しているに違いない。ただ彼らは最大限の努力の末結果が出なかったのだから、悔いはないのではないだろうか。
 友人の子供たちには、その努力があったのだろうか?やるだけのことをやってあきらめるならしょうがない。でも無理そうだから、辛いから、夢をあきらめたのだとしたらあまりにも安易ではないだろうか。「石の上にも3年」、ひとつのことで結果を出そうと思ったら、最低これくらいの時間が必要だと昔の人も言ってるじゃないか。
 説教好きの親父みたいになってしまったが、ここでその子たちを責めるつもりはない。むしろ石の上に20年以上も座り続けている自分を反省!「転石苔むさず」、僕の場合はこっちだな。夢をもって次の石を見つけて、新たに3年ぐらい座ってみようか。
by scott_yonezawa | 2005-07-03 08:40 | お友達