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経営者、15歳に仕事を教える(北城恪太郎)

経営者、15歳に仕事を教える(北城恪太郎)_b0058285_19401033.jpg「経営者、15歳に仕事を教える」という本を読んだ。著者の北城氏は経済同友会の代表幹事で日本IBMの会長でもある。48歳で社長に就任したという履歴から、かみそりみたいな怖い方では、と勝手に思っていたのだが、ちょっと違うようだ。日本の将来を憂い、自ら教育の現場に赴き、子供達と語り合おうとする姿は、他の経営者達との格の違いを感じさせる。自社の利益追求のみに汲々とし、時にコンプライアンスを守らず、頭を下げたり言い訳をしたりする経営者は恥を知らなければいけない。

日経産業新聞の書評を読んで、子供に読ませたいと購入したのがきっかけだが、読み始めると共感するところが多く、一気に読んでしまった。
本の中で経済人、特に経営者の観点から仕事と自分のかかわりについて説明した後、産業界と教育界の人材育成に対する考え方の違いを指摘している。どんな形であれ、人として生きていくには仕事をとおして社会とかかわりを持つ事になるわけで、それが自分の好きな分野ならどんなに幸せかを説く。そして「仕事」につかない若者や何が適職かわからず、いつまでも自分探しをする若者が増えていることに対し、解決方法を提示しているが、ご本人が3年間に30校ほど訪問し、講演したり授業を行ったりしているので現場感がある。詰め込んだ知識の量や質を評価するのではなく、自ら課題を発見し解決策を見つけられるような教育が大切であるという主張は、偶然にも米IBMのパルミサーノCEOがとりまとめたレポート「Innovate America」の中で、「米国が競争優位にたつためには、問題解決型学習の推進による創造的思考やイノベーションスキルの啓発が必要(日経コンピュータ 1月10日号)」と言う主張と一致する。
北城氏の提案は、単に一経営者の私見ではなく、国家百年の計への重要な指針として考えられるべきであろう。
まあ、大上段に構えてしまったが、まずは自分の子供に伝えなければ。
by scott_yonezawa | 2005-01-24 19:39 | 趣味(読書)