カテゴリ:趣味(映画・演劇)( 43 )

b0058285_11373428.jpg 福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、携帯サイトで知り合った金髪の土木作業員に殺害された。二人が本当に会いたかった相手は誰だったのか? 佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、出会い系サイトへアクセスする。そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、彼は殺人を犯していた。彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。光代を駆り立てるものは何か? その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。誰がいったい悪人なのか? 事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは? 毎日出版文化賞と大佛次郎賞受賞した著者の最高傑作、待望の文庫化。(amazon.co.jp)

 ちょっと引用が長かったかな。人とのつながり、愛する人との出会いを心から求める祐一や光代と、うわべだけの人間関係に疑問を持たず流される佳乃や増尾。不器用な主人公たちが奈落に落ちる様は自業自得というには余りに悲しい。昨今無縁社会という言葉が話題になっているが、つながりをもたない人々が集まっているだけの社会が本当に「社会」なのか、考えさせられる。その意味では、結末はともかく、いっときは心から求めあう相手に巡り合えた二人は幸せだったのだろう。

 さてさて、本作は映画化もされている。妻夫木君が原作にとても入れ込んで主演を勝ち得たそうだが、やはり秀逸は深津絵里だろう。美人過ぎず、薄命そうなはかなさが光代の役にリアル感を吹き込んだ、というと深津さんに悪いかな。とても良い映画でした。
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文学座の山像さんからお誘いを受けて、彼女が出演するお芝居を見に行った。ちなみに脚本家の秋之桜子は山像さんのペンネームで、今まで拝見させていただいた芝居は、スピード感・リズム感のある、コメディタッチの本が多かった。
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 今回は、昭和11年(多分)の東京が舞台のシリアスなドラマだ。山像さんがマダムを演じるカフェに集う人々の、時に美しく、時に醜い人間関係が次第に明らかにされる。特に、醜い部分は、この時代背景の閉そく感とシンクロして、目を覆いたくなるような救いようのなさが伝わる。
 僕の勝手な解釈だが、タイトルの「猿」とは、人間の動物の部分の悲しみやおかしみを言い表しているように感じた。
 登場人物のせりふ回しなどどことなく古臭いのは、脚本を書くにあたって、図書館などから資料を借りまくって調査した成果とのこと、ご主人で同じ文学座の石田圭祐さんから終演後にエピソードをうかがうことができた。
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 昨日が初日で一週間ほど続くので、ご都合のつく方はぜひ。2時間ノンストップの舞台があっという間に感じる。
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 ゴールデンウィーク中に誕生日を迎えた。4月生まれはクラス替え直後でまだ友人たちと十分仲良くなっていないため、誕生日をお祝いしてもらい損なうことが多く、子供のころ毎年残念に思っていたことを思い出す。今はGWを逆手にとり、自爆覚悟で自ら祝杯をあげ、翌日ゆっくり休む習わしだ。
 さてさて今年で50の大台に乗ることをメリットに、夫婦のどちらかが50歳以上だとペアで割引してくれるサービスで映画を見た。
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 Alice In Wonderland、はやりの3D+実写でアリスの不思議な世界をリアルに(!)表現している。なにしろジョニー・デップが良い。シザーハンズ、パイレーツ・オブ・カリビアンの流れにあるコミカルで切れの良い演技が期待を裏切らない。ネバーランドで見せたようなシリアスな演技から本作の役柄まで、二枚目と三枚目を自由に行き来する実力に魅せられる。
 このポスターのすきっ歯、タモリからでも教わったのか。
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 白の女王、ポスターでは美しさのみが伝わってくるが、なかなかぶっ飛んだ役柄だった。手の動きや、キメのポーズをとりたがるクセが笑えた。
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 赤の女王。上で実写と書いたが、この頭の大きさはさすがにCGによるものだろう。そのほかトゥードルダムとトゥードルディーという太っちょの双子も、まさかこんな体型の人間はいないだろうから、いったいどうやって撮影したのやら。
 50歳にして童心に帰った和やかな誕生日だった。
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 22世紀、人類は地球から遠く離れた衛星パンドラで(アバター・プロジェクト)に着手していた。この星の先住民ナヴィと人間のDNAを組み合わせた肉体(アバター)を創ることで、有毒な大気の問題をクリアし、膨大な利益をもたらす鉱物を採掘しようというのだ。この計画に参加した元兵士ジェイクは車いすの身だったが、(アバター)を得て、体の自由を取り戻す。パンドラの地に降り立ち、ナヴィの族長の娘ネイティリと恋に落ちるジェイク。しかし彼はパンドラの生命を脅かす任務に疑問を抱き、この星の運命を決する選択を強いられていく・・・・・。(公式HP)

 いやいや映画技術はすごいことになっている。最近話題の3D映画としても話題になっているAVATARを見に行ったのだが、想像以上の仕上がりに驚かされた。自分が映画の中に入っている印象だ。
 ストーリーも、「パンドラ」に住む住民「ナヴィ」の描き方やキーマンとなる隊長のキャラクターなどステレオタイプでひねりがないのだが、この映画にそれを求めるのは過剰だろう。
 森で野獣や恐竜に襲われるシーン、がけのような足元の悪いところを駆け抜けるシーン、鳥に乗って飛ぶシーン、どれをとってもまるで自分が体験しているように感じさせる。わかりやすく言うとジェットコースターに乗っているような感じだ。気をつけないと、目がまわって少々気分が悪くなる。
 子供の頃、初めてカラーテレビを見たときに驚いた時の事を思い出した。3Dは映画のひとつの方向性になるのだろう。次は「ALICE IN WONDERLAND」かな、今から楽しみだ。
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b0058285_1812484.jpg <あらすじ> 1945年、伯爵五條紀明は母屋をGHQに接収され、一家は離れに移ることになった。後妻の華子は義妹慶子とともに進駐軍将校のサロン化した五條邸のホステスになって一家を支えることを決意する。
 やがて日系アメリカ人将校のジョージ・イトウがあらわれる。民政局のメンバーである彼は、日本をピープルのための国家にと熱く語りはじめる。華子はそんなショージに徐々にひかれていく。
 敗戦から激動の5年間を照射させ、民主主義、人間の尊厳、日木国憲法の精神を問う。 (公演ちらしより)

 今回も文学座の石田圭祐さんからお知らせ頂いて、俳優座で上演されている「グレイクリスマス」を見にいった。石田さんの役は、日系人将校、ジョージ・イトウ。敗戦を経て生まれ変わる日本を理想の国にするための憲法つくりに専念する役だ。しかしこの憲法も「日本人が勝ち取ったもの」でないためなのか、その精神が正しく理解されず、日本人もその根本で変わろうとしない。そのことを苦悩するイトウを見事に演じられていた。
 来年も井上ひさし原作の芝居を中心に活動されるご予定との事、またすばらしい舞台を拝見できることを楽しみにしています。
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b0058285_18573846.jpg 山崎豊子、司馬遼太郎と、最近骨太の原作がテレビや映画でもてはやされている。松本清張もその一人だろう。登場人物が背負う過去やそのような状況を生み出した社会的な背景にまで切り込む文章に、単なる謎解きに終わらない重厚さを感じる。そんな「厚み」を期待して代表作のひとつ「ゼロの焦点」を見た。
 物語の発端は終戦直後の混乱期、そして少し世の中が安定してきた昭和30年代初期に事件は起こる。ロケもセット当時の様子を再現するために、相当お金をかけたようだ。昭和の町並みを求めて韓国までロケにいったと聞いた。キャストも豪華で、それぞれ異なる人生模様を、今をときめく3女優が演じる。この映画の見所はここにあるといってよいだろう。
 逆に戦後の混乱、進駐軍、MP、パンパンなど今の観客には通じにくいものもあり、2時間という映画の限界では、肝心の「犯行の動機」に十分な現実感を与えきれていなかったように思う。
 それは別として木村多江さん、幸薄い女性は、はまり役だなあ。ますます好きになった。
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b0058285_9524633.jpg 早いものでもう12月。今年も充実した一年だった、と振り返るにはまだ少し早い。ひょんなことから、会社のクリスマスパーティーでバンド演奏をすることになりその練習に追われている。最近ブログの更新が滞っているのもそのせいだ。
 僕の上司が飲み会の席で、さらにその上司と音楽談義となり、ともに学生時代ギターで鳴らしたものだ、と意気投合、そのままバンド結成に相成ったとのこと。
 週に一度サックスのレッスンに通うため、会社に楽器をぶら下げてくる僕を覚えていて、半ば業務命令のごとくご指名を戴いた。まったく人の腕前も知らないでいい度胸だ。
 渡された5曲ほどの譜面は、アルトサックスの調で書かれているものが2曲だけで、あとは自分で転調するせねばならず、その準備だけでさらに2度ほど週末が必要だった。
 本番は来週、ここ2週間はスタジオで練習なので東京に帰ることもできない。まあ適当に、と思っている時にたまたま見たのが「This is it」である。
 彼ほどの天才パフォーマーでも一つのステージの準備に全身全霊を傾けるのである。人前でプレーするならもう少し練習しないとなあ...
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b0058285_88108.jpg 更新が滞ってしまった。公私にわたりいつもよりちょっとだけ忙しくて怠けてしまう。「公」はもちろんお仕事。今携わっているプロジェクトが山場を迎えているが、課題だらけで悩ましい。メンバーの士気は高いのだが、私のリーダーシップのまずさに反省しきりである。
 そんななかでこの映画。会社生活で感じる不条理に、自らの信念を曲げずに立ち向かう男の話だ。しかもその不条理が、乗客の安全につながる航空会社のお話だから問題も深刻だ。
 渡辺謙演じる主人公はリーダーシップのある、人望厚き人物で、旨く立ち振る舞えば出世が約束されているにも関わらず愚直に正論を語り、そのために左遷に次ぐ左遷の憂き目に会うが、決して屈せず会社に残る。
 僕なら、とサラリーマンなら誰でも自分に置き換えて考えるのでは。きっと適当なところで妥協して自分の身の安全は確保するかな、身につまされます。

 事故機に搭乗するフライトアテンダント役で娘が出演しているので、そちらにも注目。数秒も映らないシーンなのに本物そっくりにユニフォームや身分証明書を作り、茶髪はだめだの腕時計も当時のものに変えるなど、映画の世界もものづくりにこだわる厳しい世界、とは娘の感想。
 出演者の中に娘の名前を見つけたときはちょっと涙腺が潤んだ。
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b0058285_1248486.jpg 同じSF映画でも、ハリウッド映画のように超人的スーパーヒーローが活躍するのではないところが、良い意味で、日本らしいSF映画だと思う。
 そしてそもそもこのお話の発端になる出来事も、日本的なスケールというか、ずいぶん小さなエピソードがきっかけだったと最後の最後にわかるわけだが、さらに秘密基地のある原っぱがボーリング場になるだの、万国博覧会とか三波春夫もどきの演歌歌手とか、もう40歳半ば以上の日本人でないと共有できないエピソード満載で、海外での配給なんて考えてなさそうなところが潔い。
 主人公の遠藤ケンヂがマタギに扮した遠藤賢司に救われるシーンには思わずにやりとさせられた。もう一度DVDで一作ずつ丹念に見たら、さらなるエピソードが詰まっていそうだ。
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スコットランド王ダンカンに仕えるマクベスとバンクォーは、ノルウェー軍との戦いに勝利を収め、その戦場からの帰り道に三人の魔女に出会う。魔女たちはマクベスがコーダーの領主となり、「いずれ王となるお方」と予言する。その言葉に魅了されたマクベスとマクベス夫人は、自らダンカンを殺し王冠を手に入れ、王座安泰のためバンクォーまで手にかけてしまうのだった。精神不安定におちいったマクベスは再び魔女たちを訪れ「女から生まれたものは誰もお前を殺せない」という予言に安心する。しかし、スコットランドを救おうと立ち上がったマクダフが、ダンカンの遺児を立ててマクベスの城へ攻め込んでくる。マクベスは魔女の予言を信じこの軍勢に立ち向かっていくのだが・・・ (解説より)
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 文学座の石田圭祐さんからお誘いを頂いて「マクベス」を見に行った。「子供のためのシェークスピア」としてはじめられた取り組みも今年で15回目、だが2時間少々で演じられる以外は、せりふも演技も子供のためにレベルを下げているところはひとつもない。むしろ上演時間を圧縮した分、舞台にテンポが出て、息をもつかせない。これ、子供にはちょっと難易度が高いんじゃないかなあと思わせる。
 石田さんは今回主役のマクベス。勇猛な武将が名誉欲に目がくらみ、手に入れた地位を守らんがために次第にすべてを疑うようになる、その狂気を見事に演じておられた。
 終演後お会いしたら、「この芝居、時間が短い分出入りが多し、演出上舞台に設けられた台の上に何度も上り下りするので非常に疲れる。歳だなあ」と嘆いておられたが、いえいえそんなことありません、他を圧倒する存在感を示されてました!
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 写真左が石田さん。
 早速amazonでマクベスを購入。名誉欲、権謀術数、疑心暗鬼。シェークスピアの昔も今も人の心は変わらない。加えて欲深く、時に臆病風にさいなまれるマクベスの尻をたたくマクベス夫人の存在も、時空を越えたテーマなのかもしれない。
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