東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

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 原作を読んで、夜中に号泣を抑えられなかった作品を、いかに映像化するのか。
大泉洋+田中裕子コンビの2時間ドラマ、速水もこみち+倍賞美津子のテレビドラマに先行されて、オダギリジョー+樹木 希林はどのように表現するのか、楽しみしていた。
 テレビの2作は少々コミカルな色彩が強く、この息子がなぜここまで強く母を想うのかが、十分に描ききれていないように感じていた。
 この点映画は、内田也哉子を使ってうまく乗り切ったように思う。オトンとの出会いがダンスホールだったり、そのときの曲が、「キサス、キサス、キサス」だったりと、若く、輝いていたオカンのエピソードを挿入することで、成長したくましくなる息子と、老いて小さくなってゆく母親の対比が鮮やかに表現できていた。子供のころに感じていたほど母親が大きくないと気づいたとき、息子はショックを受け、受けた愛情の一部だけでも何とか恩返ししようと思うのではないだろうか。
 映画館の暗闇の中で、画面に没入する環境もあり、またまた涙が止まらなくなってしまった。そのうち前からも後ろからも鼻水をすする音が聞こえてくる。熟年夫婦のカップルが多かったが、不思議なことに泣いているのは男性ばかりのようだ。母親を思い出して涙する旦那を、奥様は冷静に見ているのだろうか。
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