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ニューヨークの大学生 N君

最近、久しぶりにN君とメールでやり取りする機会があった。彼はニューヨークの大学に留学する日本人学生だ。日本で4年制大学を卒業し、政治学を志して留学したそうだ。彼との出会いがとても印象深い。
ニューヨークに着任してすぐ、僕はuptown eastのアパートに部屋を借りた。前回の駐在のときもそのアパートを利用したので土地勘もあり、何よりホテルより安いのが魅力だ。
住み始めてから日もたたないある日、扉をノックする人がいた。このアパートは1階の住人共用の玄関に鍵がついており、住人以外はブザーで訪問先を呼び出し、玄関のロックを開けてもらう仕組みだ。その呼び出しがなかったということは、住人か、はたまた招かざる客か。
のぞき穴から見てみると、アジア系の男性が立っており、なんと日本語が通じる。日本語が通じると悪いやつじゃない、と勝手に決めてしまう僕も甘ちゃんだが、彼の見かけも悪くないので扉を開けてみることにした。
「実は下の階に住んでいるのですが、天井から水漏れがしています。お風呂、あふれてませんか」と、まるで洋式のお風呂の使い方を知らない田舎者のように言われてしまった。これは汚名を挽回しなければと、バスルームを見てもらい疑いを晴らしたのは言うまでもない。
そのときの物腰、受け答えから好印象を受けたのがきっかけで、僕のマンハッタン単身時代、週末の食事など、良く付き合ってもらった。
出身地のこと、日本での学生生活、ガールフレンドとの付き合い、アメリカでのちょっとした差別などいろいろな話を語ってくれた。
留学生もニューヨークのような大都会だと、誘惑が多く、勉強がおろそかになりがちだが、彼は自分の進むべき道をしっかり見極め、一生懸命勉強しているところに感銘を受けた。
先日のメールで、僕の息子に留学させるとしたら、その意義は何だと思うか聞いてみたのだが、日米の高等教育の違いを丁寧に解説してくれて、大変参考になった。日本の大学教育の限界についての問題意識は相当高く、彼が専門の政治学以外にいろいろな分野に興味を持ち、議論を重ねていることが手に取るようにわかる。
話をするたびに知的刺激を与えてくれる彼は、年下だが大事な友人のひとりである。
by scott_yonezawa | 2005-03-22 13:07 | お友達